実践プロコン塾【第1回様子】

「顧問契約を獲得する力と事業承継支援力」——“真に選ばれる診断士”を目指して

2025年10月18日(土)、台東区中小企業診断士会主催「実践経営プロコン塾」第1回講義が中小企業会館で開講されました。テーマは「顧問契約を獲得するポイント」および「事業承継支援の最新動向」。塾長の村上章氏(事業承継コンサルティング株式会社 代表取締役/中小企業診断士)が登壇し、塾生が熱心に耳を傾けました。

村上塾長は冒頭、「コンサルタントが生き残るには“信頼を得て指名される力”が不可欠」と強調。自身がスーパーバイザーから独立し、ゼロから顧問先を開拓した経験を踏まえ、信頼関係の構築とリピート契約につながる支援の本質を語りました。「顧問契約は営業で得るものではなく、“支援の結果として生まれるご縁”だ」と語る姿に、会場には静かな共感が広がりました。

続いて後半講義では、テーマを「事業承継コンサルティング」に移し、国の支援策や制度の最新動向を踏まえた実践的な内容が展開されました。村上塾長は、全国で8000店舗を超える中小企業の事業承継を支援してきた経験を基に、近年のトレンドとして「PMI(統合後マネジメント)」の重要性を解説。「これからの診断士には、単なる事業承継の助言にとどまらず、“統合を成功に導くPMI支援者”としての役割が期待されている」と述べ、受講者の関心を引きました

また、講義では「特例事業承継税制」や「引継ぎ補助金」などの支援制度の実務的ポイント、親族内・従業員・第三者承継それぞれの課題と解決策、さらには「事業承継計画書の作成手順」までが具体的に紹介されました。中でも、「後継者が継ぎたくなる会社にする」ために必要な“経営の磨き上げ”の重要性を説いた場面では、多くの塾生が頷きながらメモを取る姿が見られました。

午後のグループワークでは、実在の老舗企業を題材に、百年企業としての経営理念と事業承継の歩みを分析。創業家三代にわたる経営判断の背景や「人間中心の経営」という理念の継承を通じて、参加者は“理念と実践の一体化”の大切さを実感しました。

講評では、「診断士は制度の説明者ではなく、経営者の決断を支える伴走者である」との村上塾長の言葉が印象的でした。終了後の懇親会でも、「理論と現場感覚の両立を実感した」「経営者の想いに寄り添う姿勢を学んだ」といった感想が相次ぎ、初回から高い満足度と意欲に包まれた一日となりました。

実践プロコン塾は、理論だけでは学べない“現場対応力”と“人間力”を磨く場。

次回以降も、講義と実践を通じて「信頼される診断士」への道が続きます。